読み聞かせ&読書タイムで子どもが読書好きになる

●親の愛情を実感しながら楽しいお話が聞ける至福の時間

以前、「何と言っても読書! 読書こそが子どもを伸ばす」で、読書こそが子どもを伸ばすということを書きました。
では、子どもを読書好きにするためにはどうしたらいいのでしょうか?

そのためにまず何と言っても大事なのは、小さいときの絵本の読み聞かせです。
絵本の中にはすばらしい世界が広がっています。
不思議なお話、楽しい物語、びっくりするような情報、初めて知る物事など、子どもがわくわくするものがいっぱい詰まっています。

想像の翼を広げながらお話の世界に浸る楽しさ、好きなお話を何回も繰り返し聞くときの心地よさ、これを味わった子が読書好きにならないはずがありません。

そして、この読み聞かせの時間は、子どもにとって親の愛情を実感として感じられる貴重な時間でもあります。
というのも、親は子どものことを愛してはいるのですが、実際にはがみがみ叱ることが多くて、子どもは親の愛情を実感として感じられずにいることが多いからです。
ところが、この読み聞かせの時にはがみがみ叱らなくても済みます。

ですから、子どもにしてみれば一つには親の愛情を実感として感じながら、二つには楽しいお話の世界に浸れるわけです。
この二つの幸せがリンクするので、大好きなお母さん・お父さんの温もりを感じながら本の世界の楽しさを味わうひとときは、子どもにとって至福のひとときになるのです。

●万難を排して読み聞かせをしよう

このようなわけで、子どもが小さいときは万難を排して読み聞かせの時間をとって欲しいと思います。
ときどきではなく、毎日時間をとって欲しいと思います。
それくらい価値のあることだからです。

でも、実際には、忙しい、時間が取れない、うっかり忘れてしまう、読む絵本がないなどの理由で、実行できていない家庭が多いのです。
やらない理由を挙げればいくらでも挙げられます。

でも、強い決意をして実行すばできないはずがありません。
ですから、私は「万難を排して」と強調したいと思います。
繰り返し言いますが、それだけの価値があることなのです。

ある家庭では、毎日寝る前と決めて読み聞かせを始めたそうです。
すると、しばらくしたら、その時刻になると子どもが絵本を準備して待ってくれるようになりました。
大人が忘れても子どもは忘れなくなるのです。

さて、よくある質問が「読み聞かせは何年生までできますか?」というものです。
これに決まりはありません。
子どもが嫌がらなければ、何年生でもいいのです。
思い立ったが吉日で、そのときから始めればいいのです。
実際に、小学4年生から親が読み聞かせを始めて、本好きになったという子もいます。

●好きな分野の本から入る

とはいっても、既に子どもが大きくなっているので、今から読み聞かせはちょっと無理、という場合も多いと思います。
でも、諦めることはありません。
何にでも次善の策があるものなのです。

次善策の1つめは、その子の好きな分野の本から入ることです。
野球が好きな子には、「野球の秘密」「少年野球教室」などのハウツー本、野球少年が活躍する児童文学、「イチロー物語」のような有名選手の伝記などがおすすめです。

好きな分野の本なら手に取りやすいですし、それを読んでいるうちに読書に目覚めることはよくあることです。

2つめは、好きなアニメやドラマに関係した本から入ることです。
ある男の子はアニメ、特にジブリのアニメが大好きで親子でよく見ていました。
本はあまり読まない子でしたが、アニメを見た後でそれに関する本を買い与えるようにしたらけっこう読むようになったそうです。

これは、映像で一度見たものを、本や絵本でもう一度味わうということです。
ですから、読書の習慣がない子でも取り組みやすいのです。
特に気に入った作品に関する本なら、子どもは喜んで読みます。
こういったことがきっかけで読書が好きになる子もいます。

●読書タイムの圧倒的な効果

次にお薦めしたいのは読書タイムの設定です。
つまり、毎日決めた時間帯に必ず読書をすると決めるのです。
ネーミングとしては「○○家読書タイム」「親子読書タイム」「10分間読書」などです。

教師だったとき、私は自分のクラスでやっていましたが、読書タイムにはすばらしい効果があります。

私のクラスでは毎日朝8時から8時20分まで読書タイムと決めてありました。
つまり、4月の始めから3月の終わりまで、毎朝同じ時間帯に読書をするのです。

このようにしていると、子どもたちに生活リズムとして読書が定着します。
生活リズムとは、毎日同じ時刻に同じことをすることだからです。

生活リズムに組み込まれることで、「さあ、読書だよ」と指示しなくても本を読み始めるようになります。
実際、私のクラスでも8時にはみんな本を読み始めていました。
中には10分も前から読み始める子もいました。
毎日読んでいるので、続きを読みたくなるのです。

そして、読書タイム以外にも、休み時間、給食を食べ終わった後、体育の着替えが終わった後など、ちょっとした隙間時間にも本を読むようになりました。
つまり、読書タイムは20分間でも、それがきっかけになるので実際には毎日もっと長い時間読むようになったのです。

●本の紹介はOK。強制はNG

ということで、ぜひ家庭でも読書タイムを設けるといいと思います。
その時間には家族みんなが本を読んでいるという状態にすれば効果抜群です。
そういう状態なら気が散りませんし、この時間は読書をするのが当たり前という雰囲気になるからです。

なお、本選びについては、基本的に本人が読みたい本ということにしたほうがいいでしょう。
親が「そんな本じゃダメ。これを読め。あれを読め」と言いすぎると、子どもは本が嫌いになります。

もちろん、子どもが楽しく読めそうな本を「これ、おもしろいよ」「この本はちびっ子野球少年が出てきて活躍するよ」「パティシエを目指す女の子の物語だよ」と紹介するのはいいのです。

なぜなら、子どもの情報は限られているからです。
でも、強制はいけません。紹介と強制の区別は明確につけてください。

初出『月刊サインズ・オブ・ザ・タイムズ(福音社)』

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