親が寛容なら子どもはウソをつく必要がなくて正直になる

●子どもがウソをつくのは弱い存在だから

子どもがウソをついたとき、親として非常にがっかりしたとかショックを受けたなどという話を聞くことがあります。
でも、私は、あまり大げさに考え過ぎない方がいいと思います。

なぜなら、洋の東西を問わず、子どもというものは昔からよく嘘をつくものと相場が決まっているからです。

だからこそ、西洋の「オオカミ少年」「金の斧」、日本の「花咲かじいさん」など、子どもに「ウソをついてはいけません。正直になりなさい」と教える話が山ほどあるのです。

みなさんも、子どもの頃いろいろな嘘をついたことがあるはずです。
記憶にないのは、ただ忘れているだけなのです。
では、なぜ子どもはウソをつくのでしょうか? 
それは、子どもが弱い存在だからです。

大人は経験が豊かなので知恵が働き、問題を解決する能力があります。
何か困ったことがあったとき、解決方法を調べたり自分で考えたりすることができるのです。
情報もお金も行動力も自由もあります。

子どもにはこういったものが一切ありません。
つまり、子どもには問題を解決する能力がないのです。
それでついウソをついてしまうのです。

●親の圧倒的な権力に翻弄される子ども

それに加えて、大人である親の圧倒的な権力の前で、子どもの立場は本当に弱いものです。
親に生殺与奪の権を握られている圧倒的な弱者、それが子どもです。
親のその時の気分次第で翻弄され続ける、それが子どもの立場です。
ですから、自分を守るためについウソをついてしまうのです。

親は子どものウソが許せなくてきつい言葉で叱りつけます。
「このままウソつきな大人になっては困る。
子どものうちに正直にしなければ」という気持ちがあるからです。

ときには「なんてずるい子なんだ」「お前はウソつきだ」などと人格を否定する言い方をしてしまうこともあります。
でも、こういう言葉は子どもの心を深く傷つけ、トラウマになってずっと引きずることにもなりかねません。

また、こういうことを言われれば、言った相手に対して絶対的な不信感を持つようになります。
自分のことをウソつきと思っている相手に対して、心を開くことなどできるはずがありません。
子どもは心を閉ざしてしまい、その後は何を言われても素直に聞く気になどなれません。

●ウソに厳しすぎると逆効果

「ウソは絶対に許さない」という親の思いが強すぎて、その結果かえって子どもが巧みなウソをつくようになったという例はたくさんあります。

私が知っているあるお母さんもそうでした。
子どもを正直な人間にしたいという思いが非常に強い人で、ほんのちょっとのウソも許しませんでした。

ある日、子どもが学校からのお便りを見せたのですが、その中に提出期限の切れたアンケート用紙が入っていました。
それで、お母さんは「これ、いつもらったの?!」と強い口調で聞きました。

その勢いに押されて、その子はつい「昨日もらった」と答えてしまいました。
「あやしい!」と感じたお母さんはさらに強く問い詰めましたが、子どもは「昨日もらった」の一点張りです。

それで、お母さんは真相を解明しようとその子の友達の家に電話を掛けて、1週間前に配られていたことを突き止めました。

その後は、子どもが金輪際二度とウソをつく気になどなれないように、徹底的に叱りつけました。
そういうことが何度かあって、結局その子はウソが上手な子になってしまいました。
もちろん、親子関係もギスギスしたものになってしまいました。

●ウソをつく必要がなければ正直になる

このようなことになりがちですから、あまり神経質にならずに、子どものちょっとくらいのウソはだまされて聞き流してあげればいいのです。

あるいは、「はいよ。わかったわかった」「あ、それはもうばればれ」くらいの軽い対応で十分です。

もちろん、ケース・バイ・ケースできちんと対応した方がいいウソもあります。
でも、たいていの場合それほどのことはありません。

それよりも基本的に大切なのは、そもそも子どもがウソをつく必要がないようにしてあげることです。
そのためには、日ごろからおおらかで寛容な態度で接してあげてください。

子どもの失敗はあまり責めないで、笑って許してあげましょう。
苦手なことやできないことはサポートしてあげ、困っているときは助けてあげてください。

●子どもの話は、とにかく共感的に聞こう

何事も「子どものうちにしっかりしつけなければ」とか「自分でできる子にしよう。自立させなければ」などと思いすぎない方がいいでしょう。

子どもにはそれぞれの成長ペースがあり、その時が来ればできるようになります。
そんなに急かす必要はありません。

子どもの愚痴、失敗談、要求、わがままなども、門前払いせずに、まずは共感的に聞いてあげましょう。

もちろん子どもの要求に対して、最終的には「ノー」と断る場合もあります。
でも、そういうときも、まず取り敢えずは共感的に聞いてあげることが大切です。

このように共感的で寛容な親なら、子どもは親を信頼して安心して生きられます。
ウソをつく必要もなくなり、正直になんでも言えるようになります。

初出『月刊サインズ・オブ・ザ・タイムズ(福音社)2014年6月号』

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