三択でわかる親力―子育て練習帳
●「親力」とは、子どもを育て伸ばす親の総合力です。
でも、最初からそれが身についている人などいるはずがありません。
それは実際に親としてわが子を育てる中で、各自が自分自身の中に培い高めていくものなのです。
子育ての毎日は、いろいろな場面で「親としてどうするべきか?」という判断を迫られることの連続です。
そして、その全てが、自分の親力を高めていくための機会なのです。
例えば、子どもがぐずったとき、嘘をついたとき、物を欲しがったとき、けんかをしたとき、口答えしたとき、勉強しないとき、片付けができないとき、などなどです。
これらの全てを、自分の親力を高めるための絶好の機会と考えるといいと思います。
このようなとき、条件反射的に対応したり、感情のままに対応したり、または、世間の通説や誰かの考えを鵜呑みにして対応したりしてはいけません。
●これでは、自分の親力を十分高めていくことはできません。
このようなとき、大切なことが2つあります。
1つは、「自分はこうしそうだ」とか「こうしたいと思っているようだ」などと、客観的かつ冷静に自分のありのままの心を意識していることです。
もう1つは、それを意識した上で、さらに「親としてどうするべきか?」と考えてそちらを実行することです。
これに心がけていれば、毎日の生活の中で確実に親力を高めていくことができます。
ただ漠然と子育てしているのに比べて、はるかに成長することができます。
そして、それは、親としての成長であると同時に人間としての成長でもあるのです。
「子育ては自分育て」と言われる所以です。
●この「子育て練習帳」では、実際の生活でよくある場面を想定し、3択で考えられるようにしてあります。
まず、「自分は、そのときどうするだろうか?」という点から考えてみてください。
それによって、自分の今の親力を客観的に知ることができます。
その後で、「どれが一番いいのか?」という点から考えてください。
それによって、親力を高める練習をすることができます。
三択問題に答えながら楽しく親力をアップさせてください。
●1日5問ずつ10日間分で、全部で50問です。
1人でじっくり取り組んで、自分の親力向上に役立てことができます
夫婦でやれば、お互いの教育観を語り合うきっかけになります。
相手に分かって欲しいことを、それとなく伝えることもできます。
相手に分かって欲しいところを、クイズ的に出してみるとか・・・
学級懇談会、PTA活動、母親教室、子育て教室で取り組んで、子育てについて話し合うことができます
教師の校内研修で使えば、楽しく議論しながら研修が深まります。
大学の教師養成課程の授業やゼミでも、議論しながら学べます。
●本書を編集してくださった大門久美子さんからのメッセージです。
私、思うんですけど、先生の本を読んで心に刻まれた言葉や考え方は、その後、何か行動を起こすときに、こんな言葉になって私たち読者に語りかけてくれているんだって。
「がんばっているね」。
それは、私たちを叱る言葉でもいさめる言葉でもないんです。
ただ、「がんばっているね」。
ただ、これだけなんです。
でも、この言葉は、もしかしたら、私たちが荒げるかもしれない声を少しだけ優しくするかもしれないんですよね。
振り上げようとした手を静かにおろすことにつながるかもしれません。
どんな形かは人それぞれだと思うんですけど、私たちのそばにあって、私たちを応援する言葉だと思うんです。
頭と心の理解度は違います。
頭でわかって心で理解できないからだめだ。
そんなこともないんですよね。
強い私も弱い私もすべてひっくるめて私自身。
一生懸命日々を生きる私たちに、ただ「がんばっているね」と語りかけてくれる本が先生の本だと思うんです。
もし、今の自分を変えたいと少しでも思うことがあったら、その声に従っていけばいいんですよね。
成長が終わったら人生の楽しみは半減ですからね。
伸びしろがあるから人生は楽しいんですよね。
親であることに、親の役割を得られていることに、そして社会の中でがんばっていることに、ちょっとだけ自信を持って生きていけるといいなあと思うんです。
まだまだ発展途上の私自身も「がんばっているね」の声を励みにがんばっています。
●読者のレビュー
子育て生活の中でよくあるシーンを紹介し、それに対する親の対応を選択肢の中から選ぶという、クイズ形式の子育て書。
実際にやってみると、予想した解答と著者の解答が違うことがけっこうあり、その都度考えさせられた。
たとえば、何か悪いことをした子が「ぼくだけじゃないよ。お兄ちゃんもやったよ」と言う場合。それを言われた親はカッとなってつい「人のことはいいの! あなたもやったんでしょ!!」と言ってしまうが、著者はそれはまずい態度だと言う。
なぜかというと、子どもは罪を逃れようとしてそう言うのではなく、単に公平に扱ってほしいだけだというのだ。
この視点は新鮮だった。
親は、意外と自分の理屈だけで近視眼的に子育てしている場合が多いのではないだろうか。
この本を読んでから、ムダに怒ることが少なくなった気がします。