欲を捨てればありのままでありがたい
とかく、親には子どもの長所・よいところが見えないものです。そこで、今回は、子どものよいところを見つける技を一つ紹介します。名づけて、一歩下がり法です。
これは、普段「できて当たり前」と思っていることを、親が一歩下がって見ることで長所としてとらえ直す方法です。
たとえば、親はよく「うちの子、勉強ができなくて困る」と嘆きます。でも、日本語を話せるし読んだり書いたりもできるわけで、これはよく考えてみると実にすばらしいことです。
あるいは、「ピアノがちっともうまくならない」と嘆くかも知れません。でも、一応はピアノが弾けるわけで、これもすばらしいことです。当然、手もちゃんと動くし耳も聞こえるのです。これもまた本当にありがたいことです。
これらのことは、ありのままのその子が持っているすばらしさであり長所です。「できて当たり前」と思っているから、そのありがたみがわからないだけです。
当たり前と思っていることでも、一歩下がって「もしそれがなかったら」と想像してみれば、そのありがたみがわかります。
親には、常に子どものありのままより一歩先に進んでしまうという困った習性があります。それを「親の願い」と呼んでいますが、実は「親の欲」でもあるのです。
そして、何事においても欲は苦しみの種です。親の欲が子どもを苦しめ、親自身をも苦しめます。
一歩下がり法とは、親が欲を出して勝手に進みすぎていた分を戻るだけのことです。すると、当たり前のことが実にすばらしく、ありのままの子どもの姿が実にありがたいものだと気づきます。
そのありがたさに気づいたとき、自然に感謝の気持ちが湧いてきます。感謝の他に何ができるでしょう。あるべきものは既にあり、起こるべきことは起こっています。
欲を捨て、リラックスした安らかな気持ちで、ありのままの子どもとの掛け替えのない日々を楽しみましょう。