親の愛情を実感できる家族写真の活かし方

私が教師になって一年目の五月に家庭訪問があり、そのとき見たある小学3年生の女の子の家がとても印象的でした。ドアを空けて家の中に入ると、玄関スペースにたくさんの写真が貼ってあったのです。主に親子3人で仲よく写った写真でした。

その子のお父さんは遠洋航路の船員で、航海に出ると何ヶ月も帰ってこられないとのことでした。それで、お母さんは小さいわが子がお父さんのことを忘れないように、たくさんの写真を貼ったのでした。

船の甲板でお父さんに抱っこされて笑顔いっぱいの写真。入学式の立て看板の前で親子3人で写った写真。一緒に楽しい食卓を囲む写真。彼女はこういう写真を毎日見て育ちました。

もちろん毎回じっくり見るということはないと思います。でも、見るともなく見ているうちに「自分はお父さんお母さんに大切にされている。愛されている」という認識が実感として育っていったはずです。

親の愛情を実感できるということは、子どもにとって非常に大切なことで、それがある子は気持ちが安定します。友達にも優しくなれますし、何事でもがんばるエネルギーがわいてきます。彼女もまさにそういう子でした。ですから、みなさんも、ぜひ家族の愛情が実感できる写真をたくさん貼ってあげてください。

以前は写真を撮れば必ず現像していました。ところが、最近は写真を撮ってもデータとして保存するだけで、プリントアウトすることも減ってきました。家族写真で愛情を実感できるようにするためには、見ようとしなければ見られない状態ではなく、いつも自然に目に入る状態にしておくことが大切です。しかも、ある程度大きい方が印象に残ります。

ところで、入学式や旅行などで写真を撮るとき、お父さんはカメラマンになってしまい自分は一緒に写らないことがあります。お母さんと子どもだけ写っている写真がよくあるのです。

でも、これだと何年か後にその写真を見たとき、お父さんの印象が薄くなってしまいます。お父さんも一緒に人生の大切な時を過ごしてきた、ということが実感できるように、ぜひ一緒に写ってください。

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